2017年03月19日
はじめの始め ・・・5
■■ 歌を唄う上でこう唄わねば、と言う形はない」と言う話、■■
まず、私の教室の実例からご紹介して見ます、これは15年ほど前の話ですが。
Aさん60歳(女性)、この方はお年以上に体格ありどっしりと堂々とした体格の方です、その堂々とした体から生まれる声は、声量、声の伸びも申し分の無いきれいな声の持ち主です。
またこの方は各カラオケ大会の出場も県内にとどまらず、県外まで出かけておられます、私の教室に通い始め月に4回のレッスンを受けてちょうど6ヶ月になります、レッスン曲は和田アキコの「今、貴方に歌いたい」、でした。
教室に最初にこられたときの私の判断は、ブレスが小さく語尾に余裕がないこと、そして上級者が陥りやすい声量や声の良さを前に出しすぎて唄い過ぎていること、また手の振り、体の動きも同じ動きをしていてリズムのノリがいつも同じに平坦になっていることなどでした。
わたしは、Aさんのレッスンでは最初の2ヶ月は時間の殆どを「歌はこころで語れ」と言う話を、繰り返し繰り返し話をすることに終始しました、特に練習曲の「今、貴方に歌いたい」と言う曲では前半の語りの大切さを、歌詞の言葉の一つ一つを大切にして自分の言葉として語ることの大切さをくりかえし話をしました、そして歌を語る上で大切なことは譜面では書き表せない、言葉の「間」についても、人それぞれに生まれて生きてきた中で自然に習得したその人自身の言葉の「間」が有り、人それぞれに同じ歌詞、同じ言葉でも表現の仕方や言葉の表情(イントネーション)も違うこと、自分の言葉として心で語ることが唄う自分自身の生き様であり、歌謡曲(演歌)にはこう唄わなければならないと言う形は無い、と言うこと、そして自分が人に何かを伝えようとするとき常に身を乗り出して話をしようとすると身を乗り出した分だけ聞く人は逆に身を引いてしまう、身を乗り出して話をすることも自分の心を伝える上で大切なことだけど自分自身が一歩引いて聞き手に身を乗り出させることも大事なことなどを話したのです。
Aさんの歌が3ヶ月目に入って変わってきました、私は腹式呼吸方も発声法もなにも指導をしていませんでしたが語尾に余裕が出てきて語尾に余韻が出てきたのです、そして、半年過ぎた1月末に大川栄作さんと作曲家の岡千秋先生を迎えて熊本県内の実力者が集まった大きなカラオケ大会が有ったのですが見事優勝を勝ち取ったのです。
岡先生には肩の力の抜けたいい歌だったと非常に誉められたとの事でした、この事が、私自身の歌に対する考え方、歌の指導をする上での考え方に自信をつけてくれた出来事でした。
Posted by 歌バカじいちゃん at 12:27│Comments(0)