2017年03月22日
== はじめの始め ==(7)
■■ 「歌は、4分間のドラマである」、と言う話 ■■
歌謡曲、演歌はTVドラマや映画、芝居などと同じようにストーリーが有ります、しかし、TVドラマや映画、芝居などと違うのは、わずか4分前後の短い限られた時間の中で物語が進行し完結すると言うことです。
そして、その短い物語の中にはドラマや映画、芝居と同じように起承転結がきちんと存在しています、短い詩ではワンコーラス6行前後、長い詩でも12行前後の歌詞の中に人の一生を詠ったスケールの大きなものから、わずか一夜の短い時間の中で人の心の移り変わりや情景を詠ったものまでさまざまです。
ここで、その起承転結を実際にメロディーから検証してみましょう。
まず、貴方の好きな歌の歌詞と譜面のついた歌詞カードを用意してください用意が出来たら赤鉛筆で譜面のお玉じゃくしを線で結んでみてください、かき終わったらその線の動きや流れをじっくりと見て見ましょう、このラインがメロディーラインと言われるものです、そしてメロディーラインはその歌を唄う上での心の動きを表していると思って差し支え有りません、なだらかな、ゆったりとした山、起伏に富んだ山、深い谷も有れば小さい谷も有ります、そして1小節の中に沢山のオタマジャクシが有る小節も有れば3、4個しかない小節も有ります、こうして見てみるとその歌の大きな流れ、唄い分けがどうなっているのか見えてきたように思いませんか、このように譜面は読めなくても譜面を見る事で色々なことがわかってきます。
私の教室では85歳のおばあちゃんも譜面を見てレッスンをしています、いまでは、自分で色々書き込みをしているくらいです。
さて本題に戻りましょう、ここでいまメロディーラインを書き込んだ曲のカラオケを聴いてみましょう、そして何度も聞き返しながら伴奏のリズムの変わり目や伴奏の雰囲気の変わり目に区切りの斜線を書き込んでみてください殆どの歌謡曲は3ないし4箇所斜線が書き込まれたと思います、ここでその歌詞を読みながら、序章、展開、クライマックス、終章と区切りの一つ一つに当てはめてみましょう、長い歌詞になると展開の個所が2つ以上出てくることも有りますがこれで今貴方が書き込んだ歌の大きな唄いわけの枠組みがはっきりとしてきたことと思います。
こんなことしなくても、歌詞の起承転結くらいは読めば解ると言われる方も多いことと思いますが、この作業の大切な部分はただ起承転結がわかればいいと言うのでは有りません、起承転結を確認し、カラオケを何度も聞くことでカラオケの伴奏がどうなっているのかを知ることに目的があります。
さて、歌謡曲はTVドラマや映画、芝居と同じように物語が有り起承転結があることは解っていただけたと思いますが、歌謡曲の場合時間にして4分前後、歌詞も殆どが6、8行の短ものです、と言うことは、歌詞の言葉の一つ一つに非常に多くの意味合いを含んでいると言うことが解ると思います、歌謡曲の歌詞によく出てくる「なみだ」と言う言葉がありますが、悲しいから涙が出たのだと直接的に悲しそうに表現し唄えばいいと言うものでは有りません字数にしてわずか3文字の「なみだ」と言う言葉の中にその歌の物語の主人公が置かれた境遇やそれまでの時の流れなど様々なものを含んでいます、歌の歌詞には「ことば」「フレーズ」「行」と分れて書かれていても一つの物語としてつながっているものです、その歌詞、物語を書いた作詞家の心や思いを大切にしながら自分自身の物語を描く、そのことが歌謡曲、演歌を唄う上で大切なことではないでしょうか。
物語の原作があり、それを自分の表現方法で作り上げて行く映画監督や芝居の監督と同じように思えますね、原作は同じでも監督が違えば映画や芝居もずいぶん変わってきますね、歌謡曲も原作と言う五線紙に書かれたメロディーと歌詞が有り、そしてカラオケと言う舞台背景や効果音が有る中で、貴方は自分の物語として表現する、役者兼監督ではないでしょうか。
この章の最後に皆さんに伝えたいことは、歌はあくまでも歌詞もメロディーも、繰言であることです、でも、皆さんが詩を読み、曲を聴きながら、その中にある言葉のひとこと一言をかみ締めて、自分の言葉として自分の物語として捕らえることができた時、あなたの真実の声、そして真実の物語として聞く人の心に届くのではないでしょうか。
Posted by 歌バカじいちゃん at 09:53│Comments(0)